先日、体格のよい男性が、なとりえの健康弁当を食べてくださいました。

「おいしかったよ」と声をかけていただき、食事の話に。そこで「普通、男性の食事は何カロリーくらいなの?」と聞かれました。

さて、この「普通」は、誰を指しているのでしょう。

同じ体格の男性でも、体重を減らしたい方と、体重を増やしたい方では、必要な食事が違います。年齢や活動量、健康状態によっても変わります。「男性の平均的な数字」をお伝えすることはできます。でも、それが目の前の方に必要な答えとは限りません。

私が気になったのは、数字そのものよりも、「普通の男性」という前提のまま話を進めてよいのかということでした。

これは、AIを使うときにも感じます。AIは情報を探し、整理するのが本当に速い。資料を読み比べる作業では、私が驚くような力を見せてくれます。

一方で、もっともらしい答えの中に、事実と異なる内容が混じることもあります。これが「ハルシネーション」です。NotebookLMのように、用意した資料をもとに回答し、出典をたどりやすくする仕組みはありますが、それでも元の資料や回答の解釈を確かめる必要があります。

それ以上に気になるのは、問いの前提がずれていると、整った答えが返ってきても役に立たないことです。

「普通の男性は何カロリー?」と聞けば、一般的な数字は出てくるでしょう。でも、目の前の方について考えるなら、「何のために知りたいのか」「普段はどれくらい動くのか」「体重をどうしたいのか」と、先に聞きたいことがあります。

さまざまな分野で現場経験のある方と話していると、共通して出てくる言葉があります。

「AIの答えに、突っ込みを入れられるか」

違和感に気づけるか。いつもの方法が通じない場面を想像できるか。「この条件が変わったらどうなる?」と問い直せるか。その力は、現場で人や出来事に向き合ってきた経験から育つのだと思います。

ただ、経験があれば安心とも言い切れません。「昔はこうだった」を持ち続け、新しい知識を入れなければ、AIを訂正するための判断材料も古くなってしまいます。私自身も、そこは気をつけたいところです。

AIに「違うよ」と伝えると、その会話の中では答えを直してくれます。ただ、その場でAIのモデル自体が再学習するわけではありません。人もまた、間違いに気づいただけで次から必ず変われるわけではない。学び直し、現場で試し、また問い直す。その繰り返しが必要なのだと思います。

私が大切にしたいのは、AIにも人にも、遠慮せずに「それ、誰の話ですか?」と聞けること。

そして、数字の向こうにいるその人を、知ろうとし続けることです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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筆者
管理栄養士 石田美枝

株式会社Office Nutrie 代表
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