AIは答えを教えてくれる。でも、地図は読んでくれない。

先日、お弁当を買いに来てくださったお客様が、こんなお話をしてくださいました。

「AIで『痩せたい』『健康診断の数値を改善したい』と検索したら、なとりえ健康弁当が出てきたんです。」

時代が変わったな、と感じました。

昔は「Googleで検索する」でしたが、これからはAIに相談することが当たり前になっていくのでしょう。

実際、AIは健康に関する知識を整理するのがとても得意です。

「血糖値が高いなら、こんな食事を。」
「体重を減らしたいなら、こんな生活習慣を。」

一般的な情報であれば、AIはとても分かりやすく教えてくれます。

でも、その話を聞きながら、私は改めて思ったことがありました。

健康には、「正解」より先に「現在地」を知ることが必要なのだと。


私たちは毎日、朝・昼・晩と食事をしています。

一生の中で何万回も食べるのに、「食べ方」について学校で学ぶ機会はほとんどありません。

健康診断の結果を見ても、

BMIって何?

HbA1cって?

LDLコレステロールって?

そんな状態のまま、大量の情報だけがテレビやSNSから流れてきます。

「糖質を減らした方がいい。」

「朝ごはんは食べた方がいい。」

「タンパク質を摂りましょう。」

どれも間違いではありません。

でも、その情報が今のあなたに必要なのかは、また別の話です。


登山でも、地図を開いた最初に確認するのは目的地ではありません。

「今、自分がどこにいるか。」

そこが分からなければ、どんなに立派な地図を持っていても歩き始めることはできません。

健康も同じです。

体重。

健康診断の結果。

生活リズム。

仕事。

家族構成。

食べる時間。

それぞれが違うのに、全員に同じ答えが当てはまるはずがありません。

だから、健康づくりにはオーダーメイドが必要なのです。


最近、「AIが管理栄養士の仕事を奪うのではないか」と聞かれることがあります。

私は、そうは思いません。

AIは、知識を届けることはできます。

でも、その知識を、その人の暮らしの中で続けられる形にチューニングすることは、人の仕事です。

例えば、夜勤がある人。

子育て中の人。

毎日外食の人。

介護をしている人。

同じ健康診断の数値でも、提案はまったく違います。

私たち管理栄養士は、数値を見て終わる仕事ではありません。

数値を、その人の毎日の食卓へ翻訳する仕事です。


私は最近、お弁当を作る仕事も、健康経営の仕事も、特定保健指導も、実は全部同じことをしているのだと感じています。

それは、「食べなさい」と伝えることではありません。

その人が今どこにいて、どこを目指したいのか。

その地図を一緒に読み、無理なく進める道を考えることです。

AIが広がる時代だからこそ、人にしかできない役割は、むしろはっきりしてくる。

そんな未来を、私は少し楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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筆者
管理栄養士 石田美枝

株式会社Office Nutrie 代表
健康経営支援、食環境づくり、栄養相談などを通して
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